中平卓馬 火―氾濫 東京国立近代美術館での展示のレビューと東京滞在での写真

目安時間:約 10分
東京に行って来ました。
やっぱり東京はええっすね。
本来は年末年始に行く予定にしてたのですが、父親の病気の件で予定が頓挫してしまったので、遅ればせながら2月の末日から東京に行くことたできた。
予定が遅れたこともあって、おかげさまで東京国立近代美術館で開催されてる中平卓馬の「中平卓馬 火―氾濫」の展示を見ることができた。

中平卓馬 火―氾濫  東京国立近代美術館での展示のレビュー

中平卓馬の展示は過去に一度銀座で見たことがあります。
過去のモノクロのネガから写真家の金村修が焼いたというプリントと、晩年の縦位置の写真で構成された写真が展示されたもものだった。
しかし今回の展示は東京国立近代美術館という場所の展示なだけあって規模が大きく、中平卓馬のキャリアを網羅するような展示でした。
中平卓馬の写真っていうと晩年の縦位置のカラー写真とか、粒子の粗いプロヴォークの頃の写真がよく知られたイメージだと思うのですが、仕事で撮った写真が掲載されてる雑誌なんかも展示されてて、中平卓馬ってこんな写真も撮ってたんだな、って思った次第です。
っていうか雑誌の仕事もしてたんですね。
それと中平卓馬ってオリジナルプリントとかファインプリントと言った概念を持ってないのかプリント=雑誌の原稿って意識のほうが強かったのでは?って思いましたね。
このあたりは時代性でしょうか。
今だったらきれいに焼いたモノクロプリントだと素人の写真でも数万円で売れたりしそうですが、60年代後半とか70年代では写真が高く売れるっていう風潮なんてないでしょうし、このあたりは同時代に活躍してた森山大道も同じだと思います。
中平卓馬が焼いた写真とかが充実してるわけでなく資料的な写真が多く展示されてたように思います。
それとひとつ興味深かったのが、中平卓馬が昔、海外のビエンナーレで展示した作品が再現されてました。
「現地で撮影し、その日のうちに展示する」というコンセプトの作品だったようです。
たしかこの作品って何年か前に写真集で発売されたものだと思います。
「サーキュレーション―日付、場所、行為」ってタイトルですね。
ビエンナーレで展示されてたその写真作品を見ると写真、写真した作品でなくどちらかというとアート作品って感じの作品でした。
当時の既存の写真やそれにまつわる権威に反発してた写真家だけに、展示の仕方も完成されたものでなくジャズの即興演奏のようなやり方で展示したのでしょうね。
「現地で撮影し、その日のうちに展示する」って今ではデジカメで撮影してプリンターでその場でサクサク印刷してなんぼでも展示できますが、デジカメやプリンターが存在しない時代にすでに銀塩でデジタルっぽい手法で展示作品を制作してたんですね。
考えることがやっぱり突き抜けてますよね、昔の中平卓馬って。
そのあたりはどこぞの写真スタジオで下積みせずにいきなりカメラマン、写真家になった人だけに基礎が自分の思想に根差してるんですね。
そういうこともあってか中平卓馬の昔のモノクロプリントって暗室の技術の基礎とかもかなり独自のものだったのでは?って思ってみたり。
というかかなりテキトーだったのでは?
そもそもファインプリントを望んでる感じはないので、結果的に粒子のあらい荒っぽいモノクロプリントになったのかもしれませんね。
数年前に銀座で見た中平卓馬の写真の展示を見た時には、金村修が中平卓馬のネガからプリントした写真が展示されてましたが、けっこうきれいにプリントされてましたね。
その辺は中平卓馬と金村修のプリント技術の差なのかもしれませんが。
今回の中平卓馬の東京国立近代美術館「火―氾濫」は晩年の縦位置のカラー写真しか知らない人には中平卓馬がどいういう写真家だったのかを俯瞰して知るにはとても良い展示だと思いました。
晩年のあの縦位置の素人が撮ったような写真郡の理解に苦しむ方々も過去の中平卓馬を知ることで点と点が線で繋がると思います。
自分的には昔のモノクロ写真よりも晩年のあの縦位置のカラー写真郡が一番気になるし好きですね。
あの写真が多くの人から理解されないところが中平卓馬が中平卓馬である所以に思えて仕方がないのですね、自分的に。
晩年の縦位置のカラーのあの写真は
「悲しそうな顔をした猫の図鑑はない」という過去に中平卓馬が残した言葉から来てる写真だと自分は思ってる。
撮る側が意図的に見る側が欲しがるイメージを織り込んだ写真ではなく、眼の前の事物をあるがまま撮ろうという中平卓馬の思いがそのまま写真に現れたのが晩年のあの縦位置のカラー写真なんだと思う。
中平卓馬が晩年に使用してたレンズは100ミリの望遠レンズを使用してたそうだ。
100ミリというと画角が狭いので横位置で撮影すると、よほど離れた場所から撮らないと被写体がフレームに入りきれなくなってしまいます。
そのため横位置で撮るよりは縦位置で撮る方が被写体をフレーミングしやすいので、おのずと縦位置の写真を撮ることになったのでしょうね。
被写体がフレームいっぱいになってしまうことから、被写体以外の情報量が少なくなります。
つまりその撮影行為から図鑑のような写真になるのかもしれません。
なので好んで100ミリの望遠レンズを使ってたのかもしれませんね。
中平卓馬に関してはなんで100ミリのレンズを使ってたのか、といった情報は皆無です。
そもそも中平卓馬に機材関係の話をしても、多くの人が望むようなまともな答えは返ってこないのかもしれませんが。
自分が中平卓馬の写真を通じて感じた晩年のあの縦位置の写真のことは先に書いたことです。
間違ってるかもしれませんが。
それと晩年の中平卓馬はポジフィルムを使用してました。
カラーネガでなくポジです。
ポジフィルムだとカラーネガと違ってプリント時に撮る側がイメージを捏造しにくいことからポジフィルムを使用してたのかもしれません。
ポジフィルムは撮ったときの露出がそのまま記録されてしまいますし、後からイメージを作り込むために暗くしたり明るくしたり基本的にはできないので、被写体をあるがまま撮影するにはもってこいのフィルムだったのかもしれませんね。
もしくは現像上がってきたらフィルムをそのままルーペで拡大して撮った写真がプリントすることなく見れることも理由の一つかもしれませんね。
そもそもオリジナルプリントとかファインプリントといった概念の希薄な
写真家だと思われるので、撮ったときのそのままの写真が印刷物にできることを思うと、ポジフィルムを使用するのは図鑑のような写真を撮るにあたって、何かと都合が良かったのでしょうかね。
中平卓馬って元々は編集者の人で言葉の人なんですよね。
昔の写真家って元々は画家だった人が多いのですが、中平卓馬が言葉の人で言葉、思想とかから写真にアプローチしてた人だと思うのですね。
晩年の縦位置のカラー写真ですが、あれって見る人が見たら素人の写真に見えるんでしょうけども、あの写真の背景には記憶喪失になる前に散々写真について考えに考えつくされて、それによって中平卓馬本人が結露付けた写真があの縦位置のカラー写真郡なのかな?って思うわけで。
記憶喪失になった後って文章らしい文章ってほとんど書いてないのでは?
その後にどれだけ写真について思考されたのかは不明ですが、記憶喪失になった後は思考よりも撮ることが主になり、それが目的になったようにも思えます。
思考的な写真から感覚的な写真に変わったように思えます。
晩年の写真は中平卓馬独自の写真なので、だれも批評も批判もできないだろうし、晩年は著名な写真家なのだけども、だれからも邪魔されることなく写真を撮れたのではなかったのかな。
アマチュア写真家だったら目指すは中平卓馬では?って自分は思うんですな。
それは写真のスタイルでなくあり方ですね。
プロ志向になるのではなく、あるがままの自分の写真を撮り続けることですね。
さてさて、今回の東京はけっこう有意義な東京でしたね。
一つ驚いたのが意外にも疲れが残ってなかったこと。
いつもだったら東京から大阪に戻ってきたら、クタクタだったのですが今回は東京から大阪に帰ってきてもなんか普通なんですね。
朝自宅に着いてからそのまま交野山に登りに行こうかと思ったくらい。
毎日の登坂の通勤と休日の山登りで基礎体力の上がったのか疲れ知らずでしたね。
夜行バスで往復したにも関わらず。
新しい生活に変わって色々と不安があったのですが、今の調子で日々の生活を淡々と過ごしたいですね。
食事にも気をつけたいし。
それと今日は東京から帰ってきてシャワーを浴びたのですが、石鹸で体を洗わずに重曹で体を洗った。
重曹を石鹸代わりにつかっても体の皮脂がスッと取れるんですね。
石鹸を使用した後のバスルームの臭いが嫌だったのですが重曹使うと不思議にも嫌な臭いがなくなった。
不思議ですね。
重曹って消臭効果があるのは知ってたけども、ここまで臭いがなくなるとは思わなかった。
しばらくは重曹で体を洗うのを続ける予定。
その後の体の変化を見てみたい。
重曹で体を洗ったあとははだがツルツルするんですな。
それと髪の毛も重曹で洗ってます。
髪の毛もバサバサにならずにしっとりするんですな。
なので石鹸で洗うよりは重曹であらうほうが良さそう。
今日の記事は中平卓馬の展覧会のレビューと称して東京滞在時の写真を投稿してますが、一応は写真ブログなので自分の写真がメインですね。
もうそろそろ寝ます。
明日は仕事なので。
もう爺なので疲れが日をまたいで出るお年頃なので、東京での疲れのピークが明日に出るかもしれないですね。
ま、大丈夫でしょう。
また明日にも東京の写真をいくつか投稿しますわ。
それでは今日はこの辺で。

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